Ⅰ. 人は何のために生きているのか?
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あなたはこれまでに、「何のために生きているのか?」と考えたことがありますか?
- 仕事を頑張っているけれど、何のためにやっているのかわからなくなるときがある。
- 夢や目標を達成したのに、「次はどうすればいい?」とむなしさを感じる。
- 幸せになるために努力しているのに、「本当にこれが幸せなのか?」と疑問が生まれる。
こうした疑問を持つのは、あなただけではありません。これは、人間が本質的に抱えている問いなのです。
A. お金や成功では満たされない理由
多くの人が「お金」「成功」「知識」「楽しみ」こそが人生の目的だと考えます。
- 「もっとお金を稼げば、満たされるはず」
- 「成功すれば、人生に意味が見いだせるはず」
- 「好きなことを楽しめば、満足できるはず」
しかし、実際にそれらを手に入れた人たちはどうでしょうか?
- 大富豪の中には、人生にむなしさを感じている人がいる。
- 成功した経営者やスポーツ選手が、「達成感よりも空虚感の方が強かった」と語ることがある。
- 快楽を追い求めても、一時的な満足しか得られない。
なぜでしょうか? それは、お金や成功、楽しみが「人生の目的」ではないからです。それらは確かに「必要なもの」かもしれませんが、人生の最終的な目的にはなり得ません。
では、人間は何のために生きているのでしょうか?
Ⅱ. 聖書が語る「人生の目的」
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人間が「人生の目的は何か?」と問い続ける理由は、神が人間を特別な目的をもって造られたからです。聖書にはこう書かれています。
📖 神は言われた、『われわれのかたちに、われわれの姿にしたがって、人を造ろう』創世記 1:26 前半
この言葉が示しているのは、人間は偶然に生まれた存在ではなく、神が意図をもって造られたということです。神は人間を、ただ生まれて死ぬために造ったのではありません。人間が本当に満たされる唯一の道は、「神の目的」に沿って生きることです。
では、神の目的とは何でしょうか?
A. 「神のご計画」 ― 神の壮大な計画
聖書は、神には壮大な計画があると語っています。聖書は、宗教書、哲学書、道徳書ではなく、神のご計画が書かれた書物です。この計画の中で、神は天、地、人を創造されました(創世記1:1、26)。ですから、「なぜ天が造られたのか?」「なぜ地が造られたのか?」「なぜ人が造られたのか?」これらの問いに対する答えは、聖書に記されています。
📖 わたしを呼べ。そうすれば、わたしはあなたに答え、あなたが知らない大いなる隠された事をあなたに告げよう。エレミヤ書 33章3節
では、神が人を造った意図はなんだったのでしょう?
1. 人間は「神のいのち」を受けるために造られた
神のご計画の中で最も重要なポイントは、「人は神を受け入れるために造られた」ということです。大切なのでもう一度いいます。、「人は神を受け入れるために造られた」ということです。
聖書は、人間の構造についてこう語ります。
📖 あなたがたの霊と魂と体とを守って… テサロニケ人への第一の手紙 5章23節
この聖書の言葉から、人間は 「体」「魂」「霊」 の3つの部分で構成されていることがわかります。
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1. 体(からだ)
「体」は、私たちの物理的な部分、つまり目に見える肉体のことです。日常生活で使う手足や目、耳などがこれに当たります。体を通して、私たちは周囲の世界と接触し、感じ、行動します。
2. 魂(たましい)
「魂」は、私たちの内面的な部分を指します。具体的には、思考、感情、意志などが含まれます。例えば、喜びや悲しみを感じる心、何かを決断する力、物事を考える知性などが魂の働きです。魂は、私たちの個性や人格を形成し、自己意識や他者との関係性にも関与しています。
3. 霊(れい)
「霊」は、私たちの最も深い部分であり、神や霊的な世界とつながる部分とされています。霊を通して、私たちは神との交わりや祈り、礼拝など、霊的な活動を行います。霊は、私たちが神の存在を感じたり、霊的な真理を理解したりする際に働くと考えられています。
このように、聖書では人間を「体」「魂」「霊」の3つの要素からなる存在として描いています。それぞれが独自の役割を持ちながらも、互いに深く結びついており、私たちの全体的な存在を構成しています。
- 体 → 物理的な世界を感じる
- 魂 → 思考や感情を持つ
- 霊 → 神と交わるための器
「霊」という言葉は宗教的に聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、人間が目に見えないもの(愛や希望、真理)を求める心の深い部分を指します。この部分こそが、神とつながるための器として造られました。
2. 人は神を入れる器
人間は単なる生き物ではなく、神を受け入れるために造られた器(うつわ) です。聖書は、人間の本質を「器」として説明しています。
📖 しかも、栄光へとあらかじめ用意しておられたあわれみの器に、彼の栄光の豊富を知らせようとされたとすれば、どうなのですか?ローマ人への手紙 9章23節
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例えば、わたしたちが普段使うコップやペットボトルは、水や飲み物を入れるために作られています。器自体は空っぽで、その目的は中身を受け入れ、保持し、必要に応じて提供することです。同じように、聖書では人間を「器」として描いています。これは、人間が神を内に受け入れるためにデザインされた存在であることを示しています。つまり、器が水を受け入れるように、人は神を内に入れるために造られたのです。このように、人間は単なる生き物ではなく、神との深いつながりを持つための特別な「器」として造られた存在なのです。
3. しかし、なぜ人は神を持っていないのか?
あなたが生きる目的を知らず、心の中に満たされない思いを抱えているのは、神とのつながりを持っていないからです。世の中には、神とのつながりを持つ人と持たない人の二種類がいます。一般的に、神とのつながりを持つ人をクリスチャン(キリスト者)と呼びます。
では、なぜ人は神を受け入れる存在として造られたのに、神とのつながりを持たない人がいるのでしょうか?それは、人が罪を犯し、その結果、神との関係が損なわれてしまったからです。この状態を聖書では「人の堕落」と表現します。人は自分中心の生き方を選んだ結果、心の中に空虚感やむなしさを感じるようになりました。
📖 空の空、すべては空である。伝道者の書 1章2節
多くの人は「わたしは罪を犯していない」と言います。しかし、わたしたちが認識している罪と聖書が啓示している罪の意味は大きくことなります。次の記事では、「人の堕落」というテーマで、聖書が啓示している罪とは何なのかを明らかにしていきます。
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